シューカツ読了
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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久々に読んだ石田衣良。沢山読んだわけではないが、エロくもバイオレンスも無い作品は初めてである。
就職活動についてはとてもよく描写されていて、自分の就活を思い出しながら読んだ。ほぼ全編を通してその描写がされているわけだが、就活というのは本当にヘビーなイベントだと思う。今思い浮かべても、試験官との面接、合格通知を待つ日々というのはとてもとても気持ちが悪いものだ。無論面接などは楽しめるときもあるし、相性が悪くてダメなときもあるのだが。
自分の場合、2社しか受けてないのでずいぶん楽な方だったのだが、作中の学生のように何社もうける文型の人たちは本当に大変だと思う。就職活動中の学生の面倒をみる指導教官方や、ご両親等等にも読んでもらえたら就活する学生たちも少しは心情が理解してもらえて、お互いにハッピーになれるのではないかななどと読みながら思っていた。また、これから就職活動を始める人々も事前情報として読んでおくとかなり参考になるだろう。少なくとも氾濫している就活本よりは役に立つのではないか。
ぼかしてあるが、実在する企業をモデルにしているので会社が目に浮かぶのも面白い点であった。主人公たちの目標とする企業はマスコミ各社なので、読んでいて思い当たる人は多いだろう。TV出演なども多い作者の経験と人気企業がうまく一致している。
いまいちな点を上げるとすれば、淡々としているからか、あるいは二十歳前後の人の描写がもはや作者には難しいのか、どこか人物描写が薄っぺらくステレオタイプに感じる。なんだか児童向け小説を読んでいるような気分になるときもあった。また、それほど先を急いで読みたいというような衝動に駆られる話でも無いので、休むまもなく読みきってしまったとは言いがたい。新聞連載だったのも影響しているかもしれない。