UNIQLO CALENDERもどきを作ってみた

概要

ちょっと前に話題になったUNIQLO CALENDERの動画(以下UNIQLOの動画)と同じようなものが作れそうなので作ってみた。

サンプル
D

UNIQLOの動画の特徴は端的に言うと以下の2点。

  1. インターバル撮影した写真をつなげて、さらに再生時間を短くしている(微速度撮影)
  2. 写真はミニチュアを撮影した写真のよう見えるように、撮影されたか加工されている(Tilt Shift Fake)

この2点を再現すればそれっぽいものになるはず。ということで以下解説。

微速度撮影

ちょっと前に話題になった微速度撮影の例

Nature Time Lapse 2 from mockmoon on Vimeo.


微速度撮影とは、雲がすごいスピードで流れていく動画とか、花が開く瞬間とか、蝉の脱皮とか、を現実より高速にみせる技術。
実際に見るには長時間が必要でしかも時間変化が少ないために変化がわかりにくいものの描写に向いている。
UNIQLOの動画では、町の風景を24時間撮影して数秒にまで縮めるなどしている。

微速度撮影はどの程度時間を圧縮するか自由に選べる*1ので、UNIQLOの動画ではカットによってだいぶ速度が違う。
今回は撮影にそんなに手間をかけなかったので長時間のインターバル撮影などするはずもなく、次のようなお手軽手段に頼った。

お手軽微速度撮影

最近のデジタル一眼レフは入門機でも連写機能がかなり強力で設定次第でほぼ無限ともいえる連写ができるのでこれを利用する。
今回使った機材は、OlympusE-420だが、NikonD40なんかでも問題ない。どちらも一番下のランクに位置する入門機。より上位機ならなおのこと問題ない。

手順としては次のような感じ

  • 撮影モードを連写モードに
  • 三脚などに固定して対象をひたすら撮影。10秒くらい。
  • かなり絞って被写界深度を深くしておくか、加工ごにピントを合わせたいところにしっかりピントを合わせて撮る。

このとき、連写が途切れてしまうようだったら、メモリーカードの転送速度が間に合っていない可能性が高いので、サイズや画質を落とすことで対応できるそもそも動画の解像度はそれほど高い必要が無く、横が2000pxもあればHD動画になってしまう。
ただし、あまりサイズを削るとこのあとのミニチュア化がきれいにできないので注意。

本格的に微速度撮影でやりたい場合は、100MpixelクラスのWebカムを買ってきて、適当なツールでインターバル撮影するとか、デジカメの撮影をコントールするソフトウェアが各社から出ているので、それを利用すると良い。さらに、カメラを放置しておくことで撮影したいなんて言う場合は安いコンパクトデジカメでインターバル撮影できるものをヤフオクなどで探すとさらに良いかも。

Tilt Shit Fake


普通にとった写真を、あたかもミニチュアの写真のように見せる加工技術。
元々は、大判カメラのアオリ(ティルト)を使って撮影の段階でミニチュアのように見せる技法本城直季さんの作品が有名。
ただし、アオリ付のレンズは高いし、撮影は大変だしというのでとったあとの加工で済ませる。

Webサイトで体験できるところもある。
tiltshiftmaker.com - Transform your photos into tilt-shift style miniatures

が、動画にする場合は大量の写真を加工しなければならないので、僕はPhotoshopを利用した。

PhotoShopを利用したTilt Shift Fake については次のサイトのチュートリアルが詳しい。
http://aska-sg.net/pstips/tips/pages/sentakuhanni-quickmask-01.html

さらにこのチュートリアルPhotoshopのマクロ(正しくはアクション)で記録して、撮影した大量の写真に同じ加工を繰り替えしている。
アクションについては次の人力質問が簡潔でよい。
http://q.hatena.ne.jp/1157913807

  • ファイルの出力を行うときにファイル名を連番(シリアル番号)にできるのでかならずしておくこと。

と、Photoshopで撮影した写真すべてにTilt Shit Fakeをかければ準備は完了。

動画へ変換

連番のファイル名になっている静止画ファイルから動画を生成する。ツールVirtualDubが簡単。
VirtualDub download (at SourceForge) - virtualdub.org
ダウンロードしたら、解凍して、実行して、さっきの連番ファイルの最初のファイルを開く。
あとは、File->Save As AVI を選択すれば動画として出力できる。
秒あたりの写真の枚数(FPS)はメニューから Video->Frame Rate を選択すると変更できる。

感想とこれから

わりと簡単にUNIQLO CALENDERもどきが作れることがわかった。
加工もさることながら、元になる写真の構図が非常に重要で、なるべく遠くから対象を俯瞰するような写真が良いように思う。
かつ空や遠景が映り込んでいない方がミニチュアらしく見える。

また、撮影はこれでもかと言うくらい長めに連写すること。素材が少ないとFPSを下げざるをえず悲しい事になる。
今回サンプルに表示した札幌編は全然枚数が足りてない。連写中はカメラがすごい音たてるので若干怖いが壊れることは無いはず。
三脚なしで撮影したのも失敗の一つ。ビルの高いところで三脚が使えてというスポットは多くなさそうだけれどしっかり固定できないとサンプルのように画面がぶれぶれになってしまう。

今回はデジカメを利用したお手軽微速度撮影で済ませたが、webカムを設置するなりして長時間インターバル撮影もしてみたいものだ。

やっぱり先人はいっぱい居るもので

ニコニコでいっぱい作ってる人を発見
http://www.nicovideo.jp/mylist/12003649

*1:撮影間隔と動画のフレームレートを調整すればよい